秋始め
推しが『ハロウィンぽいセトリもっていくよ』とツイートしていて、秋が来たんだなと思った。ハロウィン…と考えを巡らせたが、とんと触れていないイベントのため何を準備したらいいか分からず、諦めた。思えばグループアイドルを追いかけていたときは、ハロウィンイベントやクリスマスライブ、春曲や夏曲があって、推しと一緒に季節を確かめていた気がする。季節ものは歌える時期が限られる分、自分の目で見た思い出が絡みついている。アイドルを推すとちゃんと季節を感じられる。それを久しぶりに思い出した。 そんなわけで、推しの定期イベントだった。"定期"と呼べることがどれだけありがたいことか、忘れずにちゃんと噛み締めていたい。今回は昼と夕方の2回参加して、昼は後方から、夕方は最前でライブを見た。このイベントに通って2年くらいになるが、最前に行けたのは初めてだった。 後方から見ているのも、確かに好きなのだ。推しがオタクたちの反応を見て楽しむ姿や、オタクの盛り上がるところに混ざってわたしも手をあげるのは楽しい。なにより、彼女の踊りの表現力は遠目でも見て取れて、見るたびに涙が出そうになる。パワーを浴びるのは、遠くたって十分なのだ。 夕方、整理番号順に入り、最前列の端を陣取った。ステージ、といってもほんの20〜30センチの段差があるだけの空間が、わたしのすぐ目の前にあった。5人いたらぎゅうぎゅうでフォーメーションなんて組めないくらいのスペース。でも、彼女が乗ればまごうことなきステージになる。イントロに乗って袖から走り込み、軽やかにステップを踏んでいる。 遮るものなく彼女が見えるとき、なにを見たらいいかなんて考えたこともなかった。だから、ただぼうっと、彼女の目線の動きや、腕の振りを追いかける。最近話題のちょっとあほな茶色の猫の気持ちになった。足音が曲と混ざって聞こえる。近すぎて、むしろすこし怖い。 ファンの誰とも視線を合わせずに、まっすぐフロアの奥を見つめる姿がかっこいい。わたしが遠くから眺めていた姿だった。目線の使い方で立ってきたステージの数がわかる、かもしれない。こういう姿を間近で見ると、やっぱり大きいステージが似合うんじゃないかと思う。だから、何度でも彼女のイベントに行く。 帰り道、甘い香りがして木を見つめたら、金木犀だった。わたしの世界にも、秋が降りてきたみたいだった。 (9月に諸々...