生まれ変わったら"東京生まれ"になりたい
東京というものの漠然とした特別感、特にアイドルを好きになってからは強く感じるようになっていた。
アイドルの拠点は東京なことが多いし、イベントやライブもまずは東京。インターネットが世界を繋いだとしても、再生回数を回す在宅より、たくさん現場に通える人間の強さ。生まれた場所だけでそんな差があるのかあ、と年齢を重ねれば重ねるほど不条理に思えたりする(でもわたしは出身地を恨んではいないし、ここまでの過程がある自分を好んではいる)。みんなが東京に出ていくことも魅力的に見えたのかもしれない。東京に住むだけでなにかになるような気さえしていた。
7年ほど前までは"関東在住の文系大学生"に見られたかった。あまりにも偏見だけれど、なんだか自由そうだと思っていた気がする。東京で被写体をして、どこの人間か分からなくすることが楽しかった。ブランディングが上手くいっていたかは知らないけれど、それっぽく見えていたなら嬉しい。
生まれ変わったら"東京生まれ"になりたい。私の憧れた"特別"が普通にある世界に生まれてみたい。
生まれ変わる頃には、東京でしか生きられない世界かもしれない。そしたら特別でもなんでもないけれど、前世の記憶をもって、東京生まれを誇れたら楽しそうだ。
(2024年のみずうみ)

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