見返りって必要?
私のマンガ好きは小学生の頃から始まった。母に勧められて買ってもらったりぼん本誌。何がそんなに魅力的だったのかはもう思い出せないけれど、離れられなくなってしまった。毎月買っては何周も読んで、イラストを描き写し、カラーページは切り離して保管していた。同じものをぐるぐると読み直し、それこそ暗記できるぐらいまでかじりついた。単行本というものを知って、本屋の棚にずらりと並ぶものがマンガなのだと気付いたときの高揚感。好きなマンガを買い集めて、本棚に並べる幸せ。大人になった今でもりぼんの漫画を読んでいる。永遠のりぼんっ子。
初めて大好きになったマンガは亜月亮先生の無重力少年だった。思春期の不安定さ故に重力を無視して壁を歩けたり、超ジャンプできたりする高校生たちの話で、自分もこんな風に壁を歩けるんじゃないかと精神統一してみたこともあった。実家に単行本を置いたままなので、大人になってから電子版を買い直した。
無重力少年、もとい大好きなマンガが完結する、ということを初めて経験したとき、わたしはファンレターを書きたいと思った。本誌のはしっこに縦書きで載っている「感想をお寄せください」的なアレである。マンガの最後のページにポップに書かれた「おわり」の3文字を見ても、私の中でこの人たちを終わることにはできそうになかった。先生にこの気持ちを伝えられるなら、と思ったのだった。当時おこづかいもほとんど無く、切手を買う術もなかったのでファンレターを送りたいと母に相談したところ、「どうせ送っても返事来ないよ」と笑いながら一蹴された。そうなのか、と反論もせず、りぼんを仕舞ったことは鮮明に覚えている。それ以来、ファンレターを書きたいほどの意欲が湧くこともなく(現代だとSNSもあるし)過ごしてきたけれど、返事をもらえないものは無駄なのか?と不思議に思っている。わたしのこの衝動がおさまるなら、壁打ちでも一方的でもいい。あのときはファンレターという方法しか見つけられなかったのに。
あれから、マンガが好きで、アイドルも好きなわたしになったけれど、一方的に好きでいることを続けている。先生がマンガを描き続けてくれることが、なによりの返答だから。
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